映画『ジョジョ・ラビット』ホロコースト映画の新たな傑作【感想・ネタバレなし】
ー 君は自由になったら何をするの?
ー 踊るわ
今回紹介するのは、アベンジャーズ/エンドゲーム、マイティ・ソー/バトルロワイヤルなどで知られるタイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』です。タイカ・ワイティティ…。何とも言いづらい名前ですね、ニュージーランド出身らしいです。本作品は、2019年制作(日本での公開は2020年1月下旬)でして、アカデミー賞脚色賞を受賞するなどして話題を集めました。個人的にはもっと賞を席巻してもよかったのではと思いますが。
・あらすじ
主人公のジョジョは妄想癖のある可愛い10歳の男の子。彼はいつも妄想上のヒトラーとお喋りしてる。夢は彼に会う事。そんなヒトラーに憧れるナチボーイは、ある日自分の家の屋根裏にユダヤ人の女の子エルサが匿われてることを知る。アンチ戦争のお母さんと屋根裏にいるエルサ、そして心の中で鼓舞してくるヒトラー。彼の心は揺れ始める…
・感想
はい、まあ端的に言って仕舞えば「戦争映画」です。そしてさらに細かくいうのであれば、第二次世界大戦時におけるユダヤ人迫害を描いた「ホロコースト作品」であります。ホロコースト作品といえば、『ライフイズビューティフル』『縦模様のパジャマの少年』『サウルの息子』『シンドラーのリスト』などなど、少し名前を挙げるだけでもかなりの名作が存在しますが、そんな名作達の中でも引けを取らない傑作だと僕は思います。
素晴らしい理由一つ目
戦争映画であるにもかかわらず、凄まじパワーと希望にあふれている。ホロコーストと聞くと卑劣な差別を思い浮かべます。もちろんそれは悲しい史実として語り継ぐべきだと思います。ですが、本作品はその卑劣で非人道的な差別や、そこから生まれた悲しみや憎しみだけに焦点を置いていません。「ホロコースト」という人類史上最も卑劣な行為の中に少しだけ残った希望を、自由への小さな喜びと渇望を感じることができる、そんな作品でした。観賞後は、なんだか素晴らしく良い時間をもらえた気持ちになれました。
素晴らしい理由二つ目
なんと言っても俳優陣が素晴らしかったです。まずはスカヨハことスカーレット・ヨハンソンさん。今年の上半期は彼女の名前ばかり聞く気がしますね笑。戦時中の辛く苦しい時代を生きる女性を、華やかで淡麗な容姿と素晴らしい笑顔、そして何より息子を思いやる寛大な愛で存分に表現した。スカヨハでしかなし得ない演技だったと思います。お次はサム・ロックウェル。いやぁ、毎度の如く最高です。この人は良い悪いという以前に大好きなんです。戦争ものにしてはかなりポップでコミカルなストーリー展開な本作品ですが、そのポップさを引き出すためのキーパーソンこそがこの方だと思いますね。ただ下品な笑いを招くだけでなく、情にあふれた一面もみることができた。愛らしいキャラクターですね。後はやはり主人公のローマン・グリフィン・デイヴィス君と、Kingにも出演していたトーマサイン・マッケンジーの二人ですね。デイヴィス君はとりあえず可愛い…。冒頭から心を鷲掴みにされました。マッケンジーさんも落ち着いた演技で大人びてましたね。
ぜひぜひぜひ